これは俺が大学の時の忘れられない思い出。
当時20歳だった俺には阿美という同い年の彼女がいた。
阿美とは同じ大学で、取っていた第二外国語のクラスで同じグループになったのをきっかけに仲良くなった。
阿美は学部でも入学時から可愛いと言われていて、陰キャだった俺はまともに目を見ることすらできないくらい輝いて見えた。
距離が縮んだきっかけは同じバンドのファンだったことだ。
一緒にバンドについて語り合ったり、ライブに行ったりするうちに仲良くなり、俺から告白して付き合うことになった。
それはもう夢のようだった。
毎日が薔薇色とはまさにこのこと。
学部でも皆に天使と言われるような子を彼女にしてしまったのだ。
しかも俺には初めての彼女。舞い上がるのも仕方ないよな?
実は童貞も阿美で卒業した。まあその話はまたの機会。
そして事件が起きたのは付き合い始めて2ヶ月経った頃。まだまだラブラブだった時期だ。
「私さ、モデルのバイトに応募しようと思うんだあ」
彼女はスマホの画面を俺に見せる。
急募!モデルをしてくれる方!
とデカデカと書かれたページ。どうやら近くの美大塾でデッサンのモデルをしてくれるバイトを募集しているようだ。
何よりびっくりしたのはその時給。なんと2500円を超えていた。
「ね?すごくない??私来年は留学もしたいし、お金まだまだ足りなくて……」
うつむく阿美。俺は反対することも止めることもしなかった。
いや、出来なかった。
正直嫌だった。
こんな可愛い阿美がモデルとして大勢に見られるんだと想像しただけでも嫉妬に狂いそうだ。
俺はまだガキだった。
だが留学は阿美の念願の夢でもある。
反対することなんて出来ないし、かといって留学費を出せるほど俺に金があるわけでもなかった。
そうして彼女は美術デッサンモデルのバイトに応募することになった。
バイトはあっさり通った。
まあそうだろう、阿美の愛嬌とモデル映えする顔なら。いやそれが関係あるかは知らないが。
だが俺はまだ知らなかった。あんなことになるとは。
◆◆◆◆◆
それから数日が経った頃。
阿美は結局バイトを1回で辞めてしまった。
彼女曰く、じっとしているだけだが想像以上に疲れるとのこと。
そういうものなのか?よく分からなかったがまあ俺はほっとした。
しかしその日の夜。
俺はTmitterで流れてきた1つのまとめブログの記事が目に止まる。
『モデルに応募した女さん、ヌードモデルとは知らず裸にされてしまうwwwwwww』
アダルト動画の宣伝のようだった。
サムネの女の子がタイプだったので俺は即リンクをタップした。
今日はこれにするか……
そしてページを開いた俺は驚愕する。
動画のサムネに写っていたのは紛れもなく阿美だった。
いや?違うか?
スマホで盗撮したような動画が貼り付けられていた。画質が若干悪い。
だが見れば見るほどそこに写ってるのは阿美に見える。
心臓を締め付けられるような感覚を覚えながら震える手で再生ボタンを押す。
「×××です。今日はよろしくお願いします。」
キャンバスと画材を持ったたくさんの生徒たち。
その前でぺこりとお辞儀をして挨拶する1人の女性。
ピー音で名前は隠されていたが、俺は確信した。これは阿美だ。
どうして?どういうことだ?
訳もわからないまま再生を続けた。
最初は普通に白いブラウスとフレアのスカートを履いた状態で椅子に座っていた阿美。
そんな阿美をキャンバスに懸命に描く生徒たち。
どこかドラマとかで見たことのあるような光景。
だが動画のタイトルを知っている俺は嫌な予感がする。じっとりとした汗が止まらなかった。
「それじゃあ×××さん、次は服を脱いで下着姿になってポーズ取りましょうか。」
先生らしき人が指示を出す。
動画越しでも阿美が動揺する様子が見てとれた。
やはり何も知らされていなかったのか。俺は吐き気がした。
阿美はしばらく何かを訴えている様子だったが何を言っているのかまでは聞こえなかった。
先生は聞く耳を持たない様子で、イライラしているようだ。
「皆さん高い授業料を払ってここに来ています!あなたがこうしてゴネている間も貴重な時間が過ぎているのよ!」
ついに先生が声を荒げた。
そして阿美は観念したように俯くとクルっと後ろを向く。
しばらくモゾモゾしたかと思うとスルッとブラウスを脱ぎはじめる。
真っ白な肩、黒のブラジャー、くびれたウエスト、順番に見え始めると、その美しさに皆声にならないため息をついたように感じた。
そしてスカートも外して下ろすと遂に下着姿になってしまった。
「はい。ありがとう×××さん。そしたらまず正面を向いてポーズを取ってみましょうか。」
動画でも阿美が震えているのが分かった。
ゆっくりと正面を向く阿美。皆の目が阿美の体に注がれる。
思わず手で隠そうとするところを先生が注意する。
「恥ずかしがらずに堂々としてくださいね」
そして阿美は大勢に見られる中、下着姿でポーズをとった。
シン…と静まり返るなか、デッサンの鉛筆の音だけが響く。
しばらくデッサンの時間を取ったあと、遂に先生が恐れていた指示を出す。
「それじゃあ次は全部脱いでもらいましょう。」
今度は流石にイヤイヤと必死で抵抗をする阿美。
だが先生のスタンスは変わることはなかった。
皆が(特に男どもは)期待の混じったような目でじっと阿美を見つめる。
全員が手をとめ、静まり返った部屋。
もう逃げ場はなかった。
ゆっくりと手を後ろに回し、ブラを外す。
決して大きくはないが、形の良い綺麗な胸と桜色の乳首が露わになる。
さらにショーツに手をかけ、スルスルと下ろしていく。
ちゃんと処理されアンダーヘアのないあそこが顔をみせる。(俺の趣味だった)
そしてついに阿美は一糸纏わぬ姿になってしまった。
「はい。手は後ろに回してまっすぐ立ってちょうだい。あら?下の毛は処理してるのね。綺麗な肌ね〜。」
先生が羨むように言う。
阿美はさらに顔を赤くして俯いてしまう。
自慢の彼女の全裸をこうして他の男に見られていると思うと俺はどうにかなってしまいそうだった。
また皆が必死に鉛筆を走らせる。
阿美は体を隠すことも許されず、ただ必死に耐え続けた。
そして大勢に体の隅々までたっぷりと見られてしまったあと、先生は更に追い打ちをかけるような指示を出す。
「今日は皆に難しい構図を実際の体を見て描く練習をして欲しいの。
×××さん、しゃがんで足を大きく開いてくれるかしら。隠さないでね。」
阿美は絶句していた。
だがニコリともせず険しい目つきの先生。
言われるがまま従うしかない阿美。
全員が固唾を飲んで見守る。
阿美はガクガクと震える足を押さえつつ、しゃがみ込む。
そしてゆっくりと脚を左右に広げていった。
それは思わず目を逸らしたくなるような、卑猥な姿だった。
これまでに体験したことの無いような羞恥に頬を染め、体を震わせる阿美。
その顔は今にも泣き出しそうだった。
俺の前でも見せたことの無いような姿を名前も顔も知らない人達に晒している。
いやそれどころかこの動画はネット上にアップされ世界中が阿美の裸を見ているのだろう。
もう俺は耐えられなかった。
俺はスマホを地面に叩きつけ一人部屋で咽び泣いた。
◆◆◆◆◆
その後も阿美に動画のことは話していない。言えるはずもなかった。
幸い彼女も動画のことは知らず、特に周りに知れ渡ることもなかったようだ。
しかし結局あれから俺は阿美と自然解消してしまった。
彼女のことはずっと大好きだった。
だが俺は阿美を止められなかった罪悪感を抱えて付き合い続けることが出来ず距離を置いてしまった。
社会人になった今は新しい彼女もいて毎日がすごく楽しい。
でもやっぱりあいつは可愛かったなあ。
実は動画は保存して今はおかずにすることもある。絶対内緒。